![]() 人は他人が使った歯ブラシを使って歯を磨こうとは思わない。他人の歯ブラシはどこか汚いと感じるからだろう。汚れという点では自分の歯ブラシもそれほど他人のものとは変わらないのに。自分の歯ブラシにない細菌が他人のものには付着していると思うのかもしれない。だとしても、自分の排出した汚れが自分にとって有害なものにならないとは限らない。歯ブラシは歯を洗うが、一体何が歯ブラシを洗うというのだろう。そこで作品が生じた。二本の歯ブラシはブラシのところで分かち難く結合している。両者は最も出会いたくない部分で出会い、対等な関係を結ぶ。実際、ブラシの上に歯磨きペーストをのせるように瞬間接着剤をのせてしっかり噛み合わせてあるので歯ブラシ自体がだめにならない限り半永久的に離れることはないだろう。それで潔白と名付けた。これら歯ブラシの群れの姿が昆虫のようだったのでピンで樹木にとまらせた。けれど歯ブラシはプラスチック製品なので昆虫的外観を持つにも関わらず、森の中でどうしても逸脱してしまう。それとも森の方が歯ブラシたちの群れから逸脱しているのだろうか。いずれにしても森と歯ブラシの群れは合致しない。森の中で潔白は証明されなかった。 (1997年記述)
潔白 Innocence1997 歯ブラシ23本、ピン、瞬間接着剤 利根川河川敷、取手 Shinya Takatori / Natural Unity / mix cd / 2007 |