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椎名勇仁から感じるもの
飄々としながらも、しっかり地に足をつけて、荒涼たる坂道をいつまでも上り詰めていく孤独な青年の後姿。わたしは椎名勇仁をいつもそう感じている。造りだすかたちそのものへのこだわりより、その奥にあって椎名勇仁を突き動かす力、それが一体何なのかわたしにはよく分からないが、彼はその力によって動かされている、そこが魅力なのだ。美術館や画廊に作品を並べ、並べられたものが核心に触れる自己完結型の表現というより、そこに横たわっている「作品」を通して「作品」を成立せしめたものが彷彿として浮かび上がってくる広がりそのものに椎名勇仁の本質がある。観る者は、「作品」との瞬時の出会いの残像が消えるか消えないかのとき、ふと、「作品」の背後に潜む、一人の青年を突き動かした何かに思いを馳せている。椎名勇仁の造形的行為には、人は何故生きるのか、人の行為の背後にある意味と無意味とを峻別せしめるような厳しい問いかけがあるようにわたしには思える。
小林英樹(現在、愛知県立芸術大学教授)
(リーフレット"Shiina Takehito Exhibition -Planaria-"(2004年, 人形町エキジビットスペースVision's)より転載.) |