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Shinya Takatoriの音楽について TakatoriのDJを初めて聴いたときのことが忘れられない。今からちょうど1年前、もはや伝説と化しつつあるクラブイヴェントhasienda、Club ADDでのことだ。裸体で山野を駆けめぐる謎の男に山中でばったり出くわしてしまったかのような戦慄に襲われた。無数の音楽ジャンルを狩猟しつつ決してブレない展開。紡ぎ出すビートでメッセージを発することができる稀有な能力。攻撃的かつ繊細で内省的なサウンド―彼は揺れる草木が脇腹をかすめていくのを走りながら感じている。そして時にダンスミュージックの枠を揺るがすオープンマインドな実験性。だがそれらを大きく超えて、山、川、空、雷雨、といった身近でありながらも圧倒的な存在のふところへと強烈にいざなわれたのだった。彼の音楽はあたかも自身の性器の皮をむきながら、自然界と人間存在の本質を語りかけているかのようだ。もう少しで泣かされるところだった。山形という濃厚な文化環境から現れるべくして現れた男。山形・仙台を拠点に 表現を深め、さらに活動の幅を拡げつつある彼の、ギャラリースペースでは初となる今回のパフォーマンスで、僕はまたあの謎の裸体男に遭遇するのかもしれない。(椎名勇仁/美術家) |
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ライヴ報告 Report: Shinya Takatori sound performance at What's Art Gallery 2006.10.20 タカトリのパフォーマンスは展覧会の初日だった。会場周辺が住宅地になっているため大きな音量を出すことができないという条件下で、彼がどんな音を出してくるか楽しみだった。クラブとは違い、オーディエンスはほとんど皆しらふだし踊りもしない。タカトリにとって初めての経験でもあり、未知の領域だった。そんなこととは無関係に、その場にいた人々の中で最も血中アルコール濃度が高かったのは彼だったようだ。 簡単な挨拶のあと、タカトリの音楽はいつもどおりゆっくり始まった。彼の音楽はいつもゆっくり始まる。まるでこれから相当標高の高い山に登るのだと言わんばかりに。初めから先を急いでは、君らは酸欠ですぐにばててしまうのだ、君らを高山病にするわけにはいかないのだ、とでも言いたげに。 僕は座って壁にもたれて聴いていた。タカトリがどんな操作をして音を出しているのか、僕には技術的なことはさっぱり分からない。ただ出てくる音を浴びるだけだ。音が空間を飛び交い、その音を媒介に僕の身体は少しずつ空間に溶け出していく。それと同時に精神は自分という枠を越えて拡がりを得ていく。 展示作業を終えた疲れもあり、心地よい眠りに誘われた。タカトリは会場の音響を掌握している。会場は音がよく響くこともあって、妙な共鳴感覚がある。音が、いともたやすく身体の中に染み込んでくる。ほろ酔いで温泉に浸かっているかのような、ずぶずぶな感覚だ。ほとんどノンビートだったような気もするし、途中激しくビートを刻むパートもあった様な気もするが、よく憶えていない。紡ぎ出される音に浸りながら、もう少しで眠りに入ろうかというところで音の流れは厳かに終わった。どれくらい時間が経過していたのかよくわからなかった。 |
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我に返り、タカトリを呼んでよかったと感じた。今回の個展は、完全に個人的な作品、自分のためだけに作った作品を自分のためだけに展示している、という意識があった。展覧会が成立するためには、きっかけとして何らかの外部が必要だったのだと気付いた。 僕は自分が作った空間に音がフィットしていたような気がして、終わったあとすぐにタカトリのところに行き、言った。 「何かまるで俺の作品を理解してるみたいじゃないか。」 するとタカトリはすかさず答えた。 「別に理解してないよ。」 その言葉が僕には何より嬉しかった。 僕の展示はほとんどが流しっぱなしの映像作品だった。にもかかわらず、「映像が音に反応して動いているみたいだった。」とその場にいた人たちが驚きとともに口々にしているのを聞いた。僕が座っていた位置から映像と音の関係は確認できなかったが、音の気持ちよさを感じていたのは僕だけではなかったようだ。彼の音楽は直接的に身体の延長上にあると再確認した。タカトリのパフォーマンスは成功したのだとその場で実感した。 だがこの出来事は、これから起こるもっと大きな動きの始まりの、ほんの些細なきっかけのひとつに過ぎない。 (椎名勇仁 2006.11.22)
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Shinya Takatori Sound Performance October 20, 2006 opening reception for exhibition "Summer Weeds" what's art gallery (Sendai) Shinya Takatori (dj/sound performance) |
Shinya Takatori Sound Performance 2006年10月20日 個展「Summer Weeds」opening reception what's art gallery (仙台) Shinya Takatori (dj/sound performance) |
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